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UWPの終焉:MicrosoftがUniversal Windows Platformの開発を正式に終了

MicrosoftはUniversal Windows Platform(UWP)の開発を正式に終了し、今後はWindows App SDKとWinUI 3に注力することを発表しました。本記事では、UWPの歴史、終了の背景、そして今後のWindowsアプリ開発の方向性について詳しく解説します。

Tags:#開発

UWPの終焉:MicrosoftがUniversal Windows Platformの開発を正式に終了

2021年10月、MicrosoftはUniversal Windows Platform(UWP)の開発を正式に終了し、今後はWindows App SDKとWinUI 3に注力することを発表しました。この決定は、Windowsアプリ開発の方向性に大きな転換をもたらすものです。

UWPとは何だったのか?

UWPは、Windows 10と共に登場したアプリケーション開発プラットフォームで、PC、タブレット、スマートフォン、Xbox、HoloLensなど、さまざまなWindowsデバイスで動作するアプリを一つのコードベースで開発できることを目指していました。開発者はC++、C#、VB.NET、XAMLなどの言語を使用して、統一されたAPIでアプリを構築できました。

しかし、Windows Phoneの終了や、デスクトップアプリケーションとの互換性の問題、Microsoft Storeの制約などにより、UWPの採用は限定的でした。多くの開発者は、従来のWin32、WPF、WinFormsなどのプラットフォームを引き続き使用していました。

開発終了の背景

Microsoftは、UWPの開発を終了する理由として、以下の点を挙げています。

  • デスクトップアプリケーションの重要性の再認識:多くのユーザーがデスクトップアプリケーションを使用しており、これらのアプリケーションの開発環境を強化する必要があると判断しました。

  • Windows App SDKの登場:UWPの機能を取り込みつつ、より柔軟で強力なアプリケーション開発を可能にするWindows App SDKが登場しました。これにより、従来のデスクトップアプリケーションと同様の開発が可能となります。

  • WinUI 3の採用:新しいユーザーインターフェイスライブラリであるWinUI 3は、UWPに依存せず、よりモダンで柔軟なUI開発を可能にします。

これらの要因が重なり、MicrosoftはUWPの開発を終了し、今後はWindows App SDKとWinUI 3に注力することを決定しました。

Universal Windows Platform(UWP)の開発終了に際し、多くの開発者や業界関係者から様々な反応が寄せられました。以下に、UWPに対する主な批判や問題点をまとめます。


制限されたAPIと互換性の問題

UWPは、Windows Runtime(WinRT)を基盤としており、従来の.NET Frameworkとは異なるAPI設計が採用されていました。これにより、開発者は新たな学習曲線に直面し、既存のライブラリやツールとの互換性に課題を感じることが多かったです。特に、リフレクションの制限やUIスレッドの扱いの違いなど、従来の開発手法が通用しない場面が多く、開発効率の低下を招いていました。


Microsoft Storeへの依存と配布の制約

UWPアプリは、原則としてMicrosoft Storeを通じて配布されることが求められていました。これにより、開発者は配布の自由度が制限され、ユーザーもストア経由でしかアプリを入手できないという不便さを感じていました。また、ストアの審査プロセスやポリシーの変更により、アプリの公開や更新がスムーズに行えないケースもありました。


ゲーム開発における制約

UWPは、ゲーム開発においてもいくつかの制約が指摘されていました。例えば、マルチGPU環境での互換性の問題や、MODの導入が困難であること、オーバーレイ機能の制限などが挙げられます。これらの制約により、ゲーム開発者はUWPを採用することに慎重にならざるを得ませんでした。


開発ツールとドキュメントの不足

UWPの開発においては、Visual Studioなどの統合開発環境(IDE)のサポートが不十分であると感じる開発者も多くいました。特に、XAMLのインテリセンス機能の不安定さや、デザイナーツールの使い勝手の悪さが指摘されていました。また、公式ドキュメントの情報が断片的であり、最新の情報を得るためには多くの時間と労力を要する状況でした。


クロスプラットフォーム対応の難しさ

UWPは、Windowsデバイス間でのアプリの共通化を目指していましたが、他のプラットフォーム(iOSやAndroid)への対応は困難でした。これにより、クロスプラットフォーム開発を求める開発者にとっては、UWPは魅力的な選択肢とはなりませんでした。その結果、XamarinやFlutter、React Nativeなど、他のクロスプラットフォームフレームワークへの移行が進みました。


今後のWindowsアプリ開発の方向性

UWPの開発終了に伴い、Windowsアプリ開発は以下の方向に進むと予想されます。

  • Windows App SDKの活用:従来のWin32、WPF、WinFormsなどのアプリケーション開発者は、Windows App SDKを活用することで、モダンな機能やUIを取り入れることができます。

  • WinUI 3の採用:新しいUIライブラリであるWinUI 3を使用することで、より洗練されたユーザーインターフェイスを構築できます。

  • .NET 5以降の利用:最新の.NETプラットフォームを活用することで、パフォーマンスやセキュリティの向上が期待できます。

  • WebView2の利用:ChromiumベースのWebView2を使用することで、最新のWeb技術をアプリケーションに統合できます。

これらの技術を組み合わせることで、より柔軟で強力なWindowsアプリケーションの開発が可能となります。

既存のUWPアプリへの影響

既存のUWPアプリケーションは、引き続き動作し、バグ修正やセキュリティアップデートが提供されます。ただし、新機能の追加や大幅な更新は行われません。開発者は、必要に応じてWindows App SDKへの移行を検討する必要があります。

Microsoftは、UWPからWindows App SDKへの移行を支援するためのドキュメントやツールを提供しています。これにより、開発者はスムーズに新しいプラットフォームへの移行を進めることができます。

まとめ

UWPの開発終了は、Windowsアプリ開発の新たな時代の始まりを意味します。Microsoftは、より柔軟で強力なアプリケーション開発を可能にするWindows App SDKとWinUI 3に注力することで、開発者とユーザーのニーズに応えることを目指しています。

開発者は、これらの新しいツールやプラットフォームを活用することで、より魅力的で高機能なアプリケーションを提供できるようになるでしょう。今後のWindowsアプリ開発の進化に注目が集まります。

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