2025年のWindowsデスクトップアプリ開発、最適な選択肢は?
2025年現在注目されているWindowsデスクトップアプリ開発の主要フレームワーク5種を比較。パフォーマンス・将来性・開発効率の観点から、最適な選択肢を解説します。
はじめに
デスクトップアプリケーションの開発は、用途やユーザー層によって必要とされる技術が異なります。2025年現在、Windows向けに注目すべき代表的なフレームワーク・技術は以下の5つです。
- .NET(WPF / WinUI)
- Electron
- Qt
- Flutter
- JavaFX
それぞれの特長と、エンジニア目線での評価、そして将来性について解説していきます。
.NET(WPF / WinUI)― Windows専用で最も堅実な選択
Windows向けに最適化された開発フレームワークとして、WPF(Windows Presentation Foundation)とWinUI(Windows UI Library)は今も主流です。
WPFは成熟しており、MVVMパターンによる堅牢な設計が可能です。WinUIはMicrosoftが力を入れている最新技術で、Fluent Designに対応したモダンなUIを簡単に構築できます。
強み
- 高速で安定した動作
- Visual Studioとの親和性が高く、生産性が高い
- Microsoftによる継続的なサポートと強力なエコシステム
弱点
- クロスプラットフォームには対応しない(Windows限定)
将来性 Microsoftが公式に推進しており、今後も長期的に利用可能と見込まれます。
Electron ― Web技術で素早く開発できるが、重い
ElectronはHTML/CSS/JavaScriptでデスクトップアプリを構築できるクロスプラットフォーム技術です。SlackやVisual Studio Codeなどの著名アプリもこれで作られています。
強み
- Web開発者ならすぐに使える
- クロスプラットフォーム対応(Windows / macOS / Linux)
- 豊富なnpmエコシステム
弱点
- Chromiumベースのため、アプリサイズが大きく、メモリ消費も多い
- パフォーマンスはネイティブアプリに劣る
将来性 一定の需要はありますが、軽量な代替技術(例:Tauri)の台頭にも注意が必要です。
Qt ― 高性能で組み込み分野にも強い
QtはC++ベースのフレームワークで、Windowsのみならず組み込み機器やLinux、macOSにも対応しています。業務用アプリや産業系アプリで広く使われています。
強み
- 高速なネイティブ動作
- 豊富なUI部品とカスタマイズ性
- 長期的な商用サポート体制
弱点
- C++の習得が必要(ただしQMLという簡潔な記述方法もあり)
- 商用ライセンスは高価な場合がある
将来性 クロスプラットフォーム開発の定番であり、Qt 7への進化など積極的なアップデートが続いています。
Flutter ― モバイルだけでなくデスクトップも視野に
Googleが開発するFlutterは、Dart言語を使ってUIを構築するクロスプラットフォームフレームワークです。もともとはモバイル向けですが、近年ではWindowsデスクトップにも正式対応しています。
強み
- ネイティブ同等の高パフォーマンス(AOTコンパイル、Skia描画)
- 一つのコードベースでモバイル・Web・デスクトップに対応
- 開発効率が高く、Hot Reloadに対応
弱点
- Dart言語という新しい技術の学習が必要
- Windowsデスクトップ向けの成熟度はやや発展途上
将来性 Googleが積極的に開発を続けており、デスクトップ対応も強化中。将来性は非常に高いです。
JavaFX ― 安定性はあるが、新規採用は慎重に
JavaFXはJavaでデスクトップUIを構築するためのフレームワークです。オープンソース化され、現在もメンテナンスは続いています。
強み
- Java資産を活用できる
- Scene BuilderによりUI構築がしやすい
弱点
- 他フレームワークと比べて見た目や機能が古い
- コミュニティ規模が小さめ
将来性 現時点で新規採用する理由は乏しく、既存Javaアプリの延長線でのみ有用といえるでしょう。
結論:どう選ぶべきか?
用途によって選択肢は異なりますが、エンジニア向けに整理すると以下のようになります。
- Windows専用、企業アプリや業務アプリを作るなら:.NET(WPF / WinUI)
- クロスプラットフォームやWebの知識を活かしたいなら:Electron(ただし軽量性が必要なら代替を検討)
- 高性能でUIの自由度が重要な場合:Qt(特に組み込み開発や業務系)
- 将来性とマルチプラットフォーム展開を重視するなら:Flutter
- Java資産の継続活用以外では:JavaFXは非推奨
もし「迷ったら .NET(WPF / WinUI)」というのが、Windowsアプリ開発における堅実な選択肢です。ただし、モバイル展開も含めて考えるなら Flutter、クロスOSでの柔軟性を取りたいなら Qt を選ぶ余地があります。
開発環境やチームの技術スタックを考慮しながら、最適な技術を選定してください。
参考資料
- Comparing Desktop Application Development Frameworks: Electron, Flutter, Tauri, React Native, and Qt | Medium
- Performance-wise: Is a WPF application better than an Electron one coded wisely? - Stack Overflow
- WinUI vs WPF, WinForms, UWP, and MFC | ComponentOne
- JavaFX
- Flutter in 2024: The Cross-Platform King? | Flavorstack Blog
- Build desktop Windows apps with the Windows App SDK - Microsoft Learn
- Why you should use Qt/QML for your next cross-platform application — part 1 — desktop | Medium
- Manage npm Packages in Your Organization in 2025
- NuGet Gallery | Packages
- Pub in Focus: The Most Critical Dart & Flutter Packages of 2024
- Qt Group unveils expansion plans for technology-agnostic Qt ecosystem
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