ネルダーミード法をやさしく解説|難しい数式なしで理解する最適化の手法
ネルダーミード法は、計算や数式が苦手な人でも使える「試行錯誤でベストを見つける方法」です。本記事では、小学生でも理解できるレベルで、直感的にわかるようにやさしくわかりやすく解説します。
ネルダーミード法ってなに?
ネルダーミード法(Nelder-Mead Method)は、「どうすれば一番いい結果が出せるか」を探す方法のひとつです。むずかしく聞こえますが、じつはとても人間的な考え方に近い手法です。
たとえば、レストランで一番おいしいメニューを見つけるとき、どうしますか? 最初はいくつかの料理を試してみますよね。その中から「これが一番おいしいかも」と思ったものを基準にして、少しずつ違う料理を試していく。 この「試して、比べて、よい方向に進めていく」やり方が、まさにネルダーミード法です。
どうやって動くの?
ネルダーミード法は、「三角形(または多角形)を使っていい場所を探す方法」です。以下のような流れで進んでいきます。
1. 3つのスタート地点を決める(これを「シンプレックス」と呼びます)
まず、最初に3つの場所(点)を選びます。これをつないで三角形を作ります。たとえば、「この料理は★3」「これは★2」「これは★4」みたいに点数がついているイメージです。
2. 一番悪い場所を見つけて、反対側に行く
次に、「この中で一番悪い点数の場所はどこか?」を調べて、そこを基準に、三角形の反対側にある「もっとよさそうな場所」を予想して移動します。
これを「反射」といいます。つまり、「ダメだった場所を反対側にひっくり返して、もっとよさそうなところに行ってみよう」という作戦です。
3. もし新しい場所がすごく良かったら、もっと進む
「反射」でよい結果が出たら、「それならもう少し進めばもっといいんじゃない?」と、さらに先に行ってみます。これを「拡大」といいます。
4. 逆に、悪くなったらちょっと戻ってみる
もし新しい場所があまり良くなかったら、「やっぱり戻った方がいいかも」と考えて、今の三角形を小さくします。これを「縮小」といいます。
5. これをくり返して、どんどん良い場所を探す
このように、「反射→拡大→縮小→また反射…」を何回もくり返していくことで、だんだんと一番よい場所(ベストな答え)に近づいていきます。
ネルダーミード法のいいところ
-
むずかしい計算がいらない 数式や計算が少なく、試してみることが中心です。
-
勘や感覚に近い動き方 人が「こっちの方がよさそう」と考えて動くやり方に近いので、わかりやすいです。
-
使いやすい パソコンで自動的に計算させるプログラムも作りやすく、いろいろな場面で使われています。
どんなときに使うの?
- どうやってもうまくいかない複雑な問題
- グラフがガタガタしていて、なめらかじゃない場合
- 微分(傾きを計算すること)ができないような問題
などに向いています。
たとえば、
- 工場での製品づくりで、「どういう設定にすれば一番品質がいいか」
- 飲食店のメニューづくりで、「どんな組み合わせが一番人気が出そうか」
- ゲームのキャラクターのパラメータ調整で、「どうすればバランスがよくなるか」
といった実際の生活や仕事でも使えます。
まとめ
ネルダーミード法は、まるで探検隊のように、「今よりも良い場所」を少しずつ探していく方法です。頭のいい数式よりも、感覚や経験に近い動き方なので、理解しやすく、実際の現場でも活用しやすい手法です。
「まずやってみて、そこから改善する」という考え方は、私たちの日常にもよくあることです。ネルダーミード法は、そんな人間らしい試行錯誤の知恵を、うまく数式にしたような方法といえるでしょう。
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