Mean-shift完全入門|直感でわかるクラスタリングと物体検出の仕組み
Mean-shift(ミーンシフト)は、データのかたまりを見つけるための手法として知られています。機械学習や画像処理で使われるこの方法を、専門用語をできる限り避けて、誰にでも理解できるようわかりやすく解説します。
Mean-shiftとは何か?
Mean-shift(ミーンシフト)は、「たくさん集まっているところ=かたまり」を見つけるための方法です。難しい数式を使わずに、身近な感覚で理解してみましょう。
たとえば、夜空に星がたくさんあるとします。その中で、星が集まっている場所を見つけたいとき、目で見て「ここは星が多いな」と感じる場所がありますよね?Mean-shiftは、それをコンピューターが真似するためのやり方です。
イメージで理解するMean-shift
次のように考えてみましょう。
- 平らな紙の上に、ビー玉をたくさんバラバラに置きます。
- 適当な場所に虫眼鏡を置いて、近くにどのくらいビー玉があるかを数えます。
- たくさんある方向に、虫眼鏡を少しずつ動かします。
- それを何度も繰り返していくと、最終的に「ビー玉が最も集まっている場所=かたまり」にたどり着きます。
この虫眼鏡の動き方が、まさに「Mean-shift」です。
Mean-shiftのしくみ
もう少しだけくわしく説明しましょう。
-
スタート地点を決める 最初に、地図上の適当な場所(データの中のある点)を出発点にします。
-
近くの点を調べる その点のまわりにある「近くの点」を見つけて、全部の位置の平均をとります。
-
平均の場所に移動する 出発点を、その平均の場所へ動かします。
-
動かなくなるまで繰り返す この作業を何度も繰り返していくと、やがて動かなくなります。そこが「かたまりの中心」です。
この「かたまり」が、分類(クラスタリング)や注目すべき場所として使えるのです。
どこで使われるの?
Mean-shiftは、さまざまなところで使われています。
1. 画像の中で物を見つける
カメラで撮った写真の中から、人や動物、車などの「まとまった形」を見つけるときに使います。
2. データを分ける
いろいろなデータを、「似ているもの同士」にまとめたいときに使います。たとえば、買い物データを見て「同じような買い方をするお客さん」を見つけるのに使われます。
3. 動きの分析
動画の中で、「どこが動いているか」や「何がどこへ向かっているか」などを調べるときにも活躍します。
Mean-shiftのよいところ
- 事前に「いくつに分けたいか(かたまりの数)」を決めなくてもいい
- データの形がどんなにいびつでも、それに合わせてかたまりを見つけられる
Mean-shiftの注意点
- データがとても多いと、計算に時間がかかることがあります
- 「近くの点」をどのくらい広く見るか(=虫眼鏡の大きさ)をうまく選ばないと、うまく分けられないことがあります
まとめ
Mean-shiftは、「似たものを見つける」「かたまりを探す」ためのシンプルで直感的な方法です。虫眼鏡でビー玉のかたまりを探すように、コンピューターもデータの山の中から意味のあるまとまりを見つけてくれるのです。
難しい数式よりも「感じ方」で理解できるこの手法は、初心者にも優しく、応用範囲の広いアルゴリズムのひとつです。興味があれば、実際にビー玉や紙を使って真似してみると、より実感できるかもしれません。
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