ORB徹底解説|軽くて速い!画像の特徴点を見つけるための実用アルゴリズム入門
ORB(Oriented FAST and Rotated BRIEF)は、画像の中から大事な部分を見つけるための高速で軽量な技術です。専門用語を使わず、小学生でも理解できるようわかりやすく説し、画像認識やマッチング技術の基礎をやさしく紹介します。
ORBってなに?
画像の中から「大事な場所」を見つけたいとき、コンピュータは人間の目のように「特徴(とくちょう)」を探します。ORB(オーブ)は、その特徴を見つけるためのとても速くて軽い方法です。
たとえば、あなたがある建物の写真を撮って、その後また別の角度から同じ建物を撮ったとします。この2枚の写真を比べて「同じ場所だ」とコンピュータにわかってもらうために、ORBが活躍します。
どうやって動くの?
ORBは、2つの技を組み合わせたものです。
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FAST(ファスト) これは画像の中で「目立つ点(角のような場所)」を探す方法です。速く見つけるのが得意ですが、「どの方向を向いているか」はわかりません。
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BRIEF(ブリーフ) 見つけた点のまわりの情報を短いコードのような形にして、あとで「比べやすく」します。でもBRIEFは「回転に弱い」という問題がありました。
そこで考えられたのが、**ORB(Oriented FAST and Rotated BRIEF)**です。
- ORBは、FASTで見つけた「点」に「向き(角度)」を加えます。
- その向きを使って、BRIEFを「回転にも強くなるように」工夫して使います。
これで、写真が少し回っていても、ちゃんと「同じ点だ!」と判断できるようになります。
ORBのすごいところ
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とっても速い! 他の方法より計算が軽くて、パソコンだけでなくスマホや小さなコンピュータでも使いやすいです。
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無料で使える! 特許がからんでいないので、誰でも自由に使えます。お金もかかりません。
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いろんな場所で使われている! 自動運転のカメラ、ロボットの目、スマホの顔認識、ドローンのナビなど、幅広く活躍しています。
ORBが得意なこと・苦手なこと
得意なこと | 説明 |
---|---|
速くて軽い | 小さなコンピュータやリアルタイム処理にぴったり |
回転に強い | 写真が少しくるっと回っていても平気 |
特徴をコードのように記録できる | 他の画像とすぐに比べられる |
苦手なこと | 説明 |
---|---|
明るさの変化に少し弱い | 夜と昼など、光の加減が大きく違うとずれることも |
大きく拡大・縮小されると苦手かも | すごく大きくなったり小さくなったりすると合わないことがある |
ORBはどこで使えるの?
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ロボットが目で見るとき まわりのものを覚えて、ちゃんと地図を作ったり、同じ場所を見つけたりできます。
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写真をつなげてパノラマにするとき 写真同士の「同じ点」を見つけて、キレイにつなげるのに使われます。
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物を探すアプリ カメラで見た中から特定のものを探すとき、ORBが使われることもあります。
おわりに
ORBは、複雑な数式や重い計算をなるべく避けながら、写真や映像の中で「ここが大事!」という点を見つけてくれる、かしこくて速い技術です。難しい技術も、こうして少しずつかみ砕いていくと、日常の中でどう使われているかが見えてきます。
カメラ、スマホ、ロボットなど、身の回りの多くのものにORBのような技術がこっそり使われています。知らないうちに、すごい技術と一緒に生活しているのです。
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