HOG特徴量をやさしく徹底解説|画像認識の仕組みを小学生でもわかるように解説
HOG(Histogram of Oriented Gradients)は画像の中の形や輪郭を見つけ出すための手法です。本記事では、HOGの考え方から使い方までを、専門用語を極力使わず、小学生でも理解できるようにわかりやすく解説します。
HOG(Histogram of Oriented Gradients)とは?
HOG(ホッグ)は、「画像の中にどんな形があるのか」を調べるための方法のひとつです。たとえば、人や動物、車などの形を見分けたいときに使われます。
この方法は、画像の「輪郭の方向」に注目して、どこにどんな線があるかを細かく数えていきます。まるで、迷路の地図を見て、「この辺は右に曲がっている線が多いな」「この辺はまっすぐの線ばかりだな」と見ていくようなイメージです。
なぜHOGが必要なの?
コンピューターは、人間のように画像を見て「これは人だな」とすぐにわかるわけではありません。画像の情報は、0と1の数字の集まりだからです。
そこで、人間が見たときと同じように「形」や「流れ」を感じ取れるようにするには、「この辺にはこういう線があるよ」という情報を取り出す必要があります。HOGは、その情報を取り出すのが得意です。
どんな風に動くの?
HOGがどうやって形を見つけるのか、流れにそって説明します。
1. 画像をモノクロにする
色の情報は使いません。形を見るのが目的なので、白黒の画像に変えます。これは、線や影が見えやすくするためです。
2. 小さな四角に分ける
画像を小さな四角(たとえば8×8のマス)に分けていきます。1つのマスごとに、どんな線があるか調べます。
3. どの方向に線があるかを調べる
線には向きがあります。たとえば「左から右」「下から上」など。マスの中の線がどの方向に向かっているかを細かく計算します。
4. 向きごとに数をかぞえる
マスの中で、同じ方向の線がどれくらいあるかをグラフのように数えていきます。たとえば「右向きの線がたくさんある」「上向きの線は少ない」など。
これが「向きのヒストグラム(棒グラフ)」というものです。Histogram of Oriented Gradients という名前の意味は、「方向の棒グラフ」ということなんです。
5. 周りのマスとまとめてならす
画像のどこかが少し暗かったり明るかったりしても、形そのものは変わらないことが多いです。だから、周りのマスと一緒にならして、明るさの違いを少なくします。これで「光の強さ」に左右されず、形そのものを見ることができます。
6. 全部の情報をひとつのセットにする
最後に、全部のマスから出てきた線の向きの情報をひとつにまとめて、「この画像にはこんな形がありますよ」という特徴セットを作ります。
どんなことに使われるの?
HOGは、「形」を調べるのが得意なので、こんな場面で使われます。
- 人を見つける:街中のカメラで歩いている人を見つける
- 車を見分ける:自動運転で前の車を認識する
- 動物を区別する:写真の中から犬や猫を探す
- 顔を見つける:カメラで顔を認識して自動でピントを合わせる
HOGのいいところ
- 形に強い:色が違っても、形が同じならちゃんと認識できる
- シンプルで速い:計算が比較的かんたんで、パソコンでもサクサク動く
- 人にわかりやすい:結果の意味が直感的にわかる
でも苦手なところもある
- 回転に弱い:物の向きが変わると、うまく認識できないことがある
- 細かい違いには弱い:似たような形を区別するのが苦手なことがある
- 画像が小さすぎると弱い:細かい線が見えないと、情報がとれなくなる
HOGと他の方法の違い
最近では、もっと複雑な方法(ディープラーニングなど)も使われていますが、HOGは今でも役に立ちます。
たとえば、
- コンピューターの性能がそこまで高くないとき
- あまり多くのデータが用意できないとき
- 結果を人がちゃんと理解したいとき
こういった場合には、HOGはとても良い選択肢になります。
まとめ
HOGは、画像の中の「線の向き」を見て、形を調べる方法です。特に人や車などの形を見分けるのが得意で、シンプルだけどとても実用的です。
私たちが普段あまり気にしない「線の方向」が、実は画像の中の意味を見つけるために、とても大切な手がかりになっているのです。
こういったしくみを知ると、カメラやAIがどうやって世界を見ているか、少しわかってくる気がしませんか?
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